体調が悪くて入院されているのは聞いていた。
今になって思うと、この数年はお会いする度に体型が増減していて、
若々しく見える時と、
少し疲れて年齢が急にいって見える時もあった。
いつ出会ったかはもうわからない。
多分僕が20代後半だったんじゃないかと思う。そう考えると20年くらいのつきあいだったのかもしれない。
僕の印象は、
「グルメな人」
「こだわる人」
「頑固な人」
「おれない人」
「差別しない人」
本当は優しいのだけど、優しさを表に出さない人
思い出はいろいろあるのだけど、
僕の中で印象に残っているのは、
毎回マティーニを作り直させる
当時BARのオーナーから店長に責任者が変わった時から、ショートカクテルを必ず注文する。
その中でもマティーニの注文が本当に多かった。
マティーニはカクテルの王様と言われるカクテルの王道。
内容はジンとベルモットというシンプルなレシピ。
そしてミキシンググラスでジンとベルガモットと氷をマドラーを使ってステアするのだけど、
この何回かき回すか、かき回すスピードなどで、
味のキレや香りが変わってしまう。
「う〜ん、切れてないから作り直して」
「今度は丸くなりすぎ、やり直して」
初めてみたら意地悪にも見える光景なのですが、これは彼の食やお酒に対する拘りと、店長を立派なバーテンダーに育てようという気持ちの現れただったんだと思う。
それは店長もわかっていてダメ出しされてもマティーニ作り直していました。
このグラッパ最高だよ!
イタリア研修のお土産としてBARにグラッパを数本買ってきた。
食後酒だし、高級なものより現地の人も気軽に飲んでいるだろう安価なものを選んだ。
もともと地方のBARなのでグラッパを注文するお客様は皆無。
「これうまいな!こういうグラッパが良いグラッパなんだよ!」
とすごく気に入ってくれていた。
だから僕が選んだグラッパはほとんどが彼が飲んでいたと思う。
「もっと自宅にストックないの?全部ここで買い取ってもらおう」
お土産だし、もうそれ以上はなかったので数ヶ月で終了してしまった。
でもその後もBARで酔うとかなりの確率で
「あのグラッパは最高だったよ!あのグラッパ買いに行こうよ!」
イタリアまでですか・・・
半分冗談で、
乗り気で応えたら、本当に行きそうで
「ははは・・・」といつも苦笑いしていた思い出
ワールドカップ絶対行こう!
出先のBARに行くとかなりの確率で、
「タンコさん、聞きましたよ!次のワールドカップ行くんですって?」
と言われる。
???全然行く予定ないんですけど?
「彼が一緒に行くって言っていましたよ」
あああ、そういうことか・・・
ドイツワールドカップにBAR常連さんと現地応援に行っていた彼は
「今度はタンコさんも必ず行こう!あとどこ旅行する?」
みたいな話を楽しそうにしていて、
それをどのお店でもその話をするから、
(それも話がどんどん大きくなる・・・)
僕はロシアに行くことに多くの店でなっていた(笑)
偶然、ロシア研修でワールドカップが開催される場所に行くことがあったのですが、
「下見してくれてありがとう!」って
下見で行ったわけではありませんよって毎回会うたび話していました。
ロシアはいけないから次行きましょうか、と話すと、
「カタールは暑いかな〜」
結局ワールドカップご一緒できませんでしたね・・・
実は料理もプロ級
食に本当に拘りもありましたが、自身で作ってもすごかった!
僕が食べたことがあるのが、パスタと鍋料理。
パスタはプロの料理人が食べて美味しい!と食されるレベルだったし、
友人の店で鍋パーティーをやったときは、
あまりのこだわりで、僕らが食べるに徹していたので、
彼が厨房から戻ってきたときには何もないという・・・
また鍋パーティーやりましょうよが僕の口癖でした
天国でダメ出しも美味しい料理も
今日はお通夜。
最後なのに仕事で会いにいけなくてごめんなさい。
本当に急すぎて、いまだに全然ピンときていないです。
ここ数年は、お会いする回数が減っていたけど、
会えば必ず声をかけてくれたこと本当に感謝しています。
天国で大地くんにまたマティーニ注文することでしょう。
そしてまたダメ出しして、やり直しさせるよね
まだまだそちらに行く予定はないけど、
いつかそちらでお会いできたら、美味しい手料理作ってください。
僕はお気に入りのボサノヴァのCDを選曲しますね。
さようなら
また!
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